
相続で家や土地を引き継いだあと、「裏が崖になっている」「高低差がある」「コンクリートの壁がある」など、“擁壁(ようへき)”を伴う不動産に気づくことがあります。
 見た目はしっかりしていても、擁壁は法的・安全的な確認が欠かせない構造物です。
 放置したまま売却を進めると、売主・買主の双方にトラブルが発生することもあります。
今回は、仙台市で相続不動産を扱う方が「安心して売るため」に知っておくべき擁壁の法的・実務的ポイントを解説します。
目次
① 擁壁トラブルが起こる典型パターン
擁壁に関するトラブルの多くは、「所有と責任の範囲があいまいなまま売却した」ことから生じます。
 実際に仙台市や宮城県内で見られるトラブルには、次のようなものがあります。
▸ よくある事例
- 擁壁が隣地との境界線をまたいでいることが売却後に判明 
- 擁壁の一部が老朽化で崩れ、隣地に損害を与えた 
- 擁壁の安全性が不明なまま売却した結果、買主が住宅ローンを組めなかった 
- 買主が入居後、「擁壁の修繕費用は売主が負担すべき」と主張しトラブルに発展 
いずれも、売却前に調査・確認を怠ったことが原因です。
 相続物件を売る前に、これらを一つずつ確認しておくことがリスク回避につながります。
② 擁壁に関わる主な法律と仙台市の取り扱い
擁壁は、以下の法律や条例によって安全性や構造基準が定められています。
| 区分 | 内容 | 管轄・確認先 | 
|---|---|---|
| 建築基準法 第42条・施行令第144条 | 高さ2mを超える擁壁は構造基準に適合する必要あり | 仙台市 建築指導課 | 
| 宅地造成等規制法 | 宅地造成時の擁壁や排水施設の安全性を規定 | 仙台市 都市整備局 | 
| がけ条例(宮城県) | 崖地や傾斜地の建築制限を定める条例 | 県土整備部 建築宅地課 | 
| 民法 第717条 | 工作物責任(擁壁が崩壊して他人に損害を与えた場合の賠償責任) | 売主・所有者責任 | 
仙台市の高台エリア(太白区茂庭台・青葉区中山・泉区南光台など)では、宅地造成等規制法の対象区域に該当するケースも多く、確認を怠ると「再建築不可」とされることもあります。
③ 売却前に必ずやっておきたい3つの実務
1. 専門業者による安全診断を依頼する
外見だけでは擁壁の安全性は判断できません。
 擁壁の高さ、勾配、排水機能、ひび割れ、鉄筋の有無などを建築士や地盤調査会社に診断してもらうことで、安心の裏付けを得られます。
 診断書は買主にも提示でき、売却価格の下落防止につながります。
2. 境界確定と所有範囲の確認
古い住宅地では、擁壁の所有者が不明確なままになっていることがあります。
 地積測量図の確認や土地家屋調査士による境界確定を行い、どの部分が自分の土地に含まれるかをはっきりさせましょう。
 「自分の土地ではない擁壁」を修繕してしまうと、費用トラブルの原因になります。
3. 行政調査・書類確認を行う
擁壁がいつ、どのように造られたかを把握するために、仙台市役所で造成許可申請書・確認済証・検査済証を調べましょう。
 これらの資料が揃っていれば、買主や金融機関からの信頼度が高まります。
 書類が見つからない場合は、不動産会社に**「調査代行」を依頼**するのもおすすめです。
④ 売却時の「説明義務」には注意
擁壁のある土地を売却する際、売主には「重要事項説明での告知義務」があります。
 つまり、擁壁の存在・老朽化・改修履歴・安全診断結果などを、隠さず正確に伝える必要があります。
▸ 告知漏れのリスク
- 売却後に崩落などの事故が起きた場合、損害賠償請求を受ける可能性 
- 「契約不適合責任」を問われ、修繕費や解約返金が発生する場合も 
告知をしっかり行っていれば、後からトラブルが起きても「誠実に説明していた」と主張できます。
 逆に、曖昧な説明や書面に残さない対応は、後のトラブルを招く原因になります。
⑤ 擁壁を理解してくれる不動産会社を選ぶ
擁壁のある土地は、一般的な査定マニュアルだけでは正確に評価できません。
 仙台市の地形や条例、造成履歴を理解している不動産会社を選ぶことが、トラブル回避の第一歩です。
イーライフクルーでは、
- 擁壁診断・行政確認を含めた現地調査 
- 書類の有無による価格シミュレーション 
- 擁壁修繕の専門業者との連携 
 などを通して、「安全性・法令遵守・売却価格」をバランスよく提案します。
相続不動産を“売れる状態”に整えるところから伴走してもらうことで、安心して次の世代へ資産を引き継ぐ準備ができます。
まとめ:擁壁の理解が、トラブルのない売却を生む
擁壁は、見た目では分からないリスクを抱える一方で、正しく管理・説明すれば「安心して住める土地」として評価される存在です。
 相続後すぐに売却を考えていなくても、早めに状態を確認しておくことが将来のトラブル防止になります。
特に高齢の相続人の方にとっては、“何から始めていいか分からない”という不安が大きいもの。
 そんなときこそ、地元の実情を熟知した専門会社へ相談することが、最も確実で安心な一歩です。
🔶 仙台市で擁壁付き相続不動産をお持ちの方へ
イーライフクルーでは、擁壁・がけ地・段差のある宅地など、他社では難しい不動産の売却サポートを行っています。
 現地調査・行政確認・測量・査定まで、すべてワンストップで対応いたします。
📞 電話ですぐ相談0120-97-4881(8:00〜19:00)
💬 LINE相談する (24時間受付中)
📩 フォームで送る (3分で入力完了)
「擁壁があるから売れない」と諦める前に。

